雑談BBS 171621


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15/8/14 BBSを整理整頓しました。少しは見やすくなったと思います。
15/8/14 BBSの注意事項を緩和しました。原因はポケモンコントが想定以上に荒れている為…なのですが。



長編4話5話外伝

1:エナ◆y5SZb1A4LI :

2018/11/18 (Sun) 21:43:32

*注意書き*
この物語には「死」や「殺」のような中傷的な表現が含まれる可能性があります。
不快な思いをされる方は読まないことをお勧めいたします。
尚、この物語はフィクションです。ご理解のほど宜しくお願いします。
2:エナ◆y5SZb1A4LI :

2018/11/18 (Sun) 21:58:01

*登場人物1*
ミズハ(容姿年齢:17~18歳、性別:♀、種族:???)
 主人公。長編4話で登場。水色のチョッキに青の中ズボンを履いている。髪の毛は青色の長髪でお尻ぐらいまである。但し普段は男装をしているためキャップ帽子に強引に髪をしまい短髪のように見せている。

 種族が定義されておらず本人も曖昧である模様。ただ、容姿はどう見ても人間であるため人間という形で生きている。とはいえコミュ力がないため人間達からハブられるのではないかと時々思い返す時もある。

 他のあらゆる生物から力や技を奪うことができ、奪った技を奪った力を用いて行使することが可能である。とはいえ、本人は争いが嫌いな性格なため乱用はしない模様。波乱万丈な人生を送っているため普通な平和的日常を一応は望んでいる。
3:エナ◆y5SZb1A4LI :

2018/11/18 (Sun) 21:59:13

*登場人物2*
アマミ(容姿年齢:12~13歳、性別:♀、種族:魔女)
 サブ主人公。長編5話で登場。緑と黄緑のチェック柄が入ったジャンバースカートを履いている。スカートの丈は短め。魔女用のつば付きとんがり帽子も被っている。なお、顔の左側全体にかけて幅数センチ、薄ピンク色の十字線痕が付いている。

 一応種族は魔女ではあるが見かけからはどう見ても小学生の女の子。本人はとんがり帽子を被っているから魔女と言っているものの言われない限り魔女と気づくものは早々いない。

 彼女は魔女であるが魔女としての能力は現時点で全く不明である。ただ、能力的に強い弱いはさておき相当な天然キャラなため彼女がいるだけで周りが掻き回されたり収集困難に陥ったりする事態が発生することもある。
4:エナ◆y5SZb1A4LI :

2018/12/06 (Thu) 22:18:45

「うわーん…歩き疲れました!!!」
「そ、そんなこと言われても…」

 僕らは現状旅の途中。まあ、大体故郷から出てそろそろ1週間近く経つ。厄介なのは、食料確保のためのお金は持ってきたんだけど…まあ、故郷の都合上で1週間分が限界だったんだよね。移動手段用とか宿泊費は全て0。もう何回野宿に費やしたかわからない。うん。

「ミズハさんー。何処かに泊まるところはないんですか!!」
「………」

 いや無いから!僕だって野宿ばっかりは嫌だから!

 とはいってもなあ…お金がない以上どうしようもない。アマミちゃんには何も伝えていないし…伝えるとなにするかわからないんだよね。あの性格だと。

「…あ、見てください!何かが見えます!」
「うん?あれは…村かな?」

 村ならラッキー。食料を買える。持ち歩くとかさばるので、今までの通ってきた町や村でも最低限の食料しか買っていない。

 後、アマミちゃんのよくわからない能力でそこら辺に生えている植物系のものは食べれる食べれないがわかるらしい。どういう能力だよ。

 まあ、その縁もあって辛うじて食だけは繋いでる。他?知らないそんなものは。

「ミズハさん!!あそこなら宿ありますよね?泊まれますよね!」
「あー、仮に寄ったとしても…少し情報収集したらすぐ出掛けるよ。」
「どうしてですか!たまにはゆっくり休みたいです!!」

 無理だよ!お金がないんだよ!どうしてこうなったのかわからないんだよ!

 あー、もう…この旅は地獄になることは目に見えていたのに…どうしてアマミちゃんついて来ちゃったのかなあ…。

「まあ、食べ物を買う都合があるのと…後、何処かで稼ぐ必要性があるかも…」
「稼ぐってなんですか?」

 ちょっと待とうか?

「え…ほ、ほら…宿に止まるならもう少しお金が欲しいかなって…」
「ずるいです!お金欲しいです!」

 意味わかってるのかなこの子?アマミちゃんは色々頭が残念な子だからね。もう諦めたよ。

「まあ、どっちにしてもあの村か何かで情報収集は必須だよ。このままじゃ僕達旅だけで死んでしまう。」
「ギャー!嫌です!死にたくないです!村を制圧します!!」

 意味わかんねえよ!制圧?What?

 とかなんとかいってるうちに、到着した。やっぱり村みたい。それほど大きいとは言えない。…宿はまだしも食料を収集できないと流石にヤバイ。雑草だけの食事じゃガチで死ぬ。

 いや、厳密には野生生物もいるのでそれを狩ると言う荒業もあるのだが…狩ることが出来てもどう食べればいいのかわからない。アマミちゃんも動物系の毒の有無は微妙らしいのと…料理する道具なんて持っていない。更に、そもそもアマミちゃんが…

「動物さんを殺しちゃ駄目です~!!」

 呑気なこと言ってるんだもん!ベジタリアンかよ。第一先日の夕食平気で豚肉食べてなかった?

 まあ、そんなこんなでお金不足も込み…今日が最後の買い物になりそう。何かで稼がない限り。

「じゃあ、とりあえず食材を売ってるところを探そうか?」
「はい!宿も探します!行ってきます!」

 って勝手にいかないで!!全くもう…。いつもこうなんだから。

 それにしても、既に僕は栄養失調気味…もう走れない。あの子の元気はどこから来るんだろう?

 あー、と言うかもうなんか住人取っ捕まえて聞いてるし…僕には真似できないよ。あの子のコミュ力どうなってるんだろう。

 …うん?何か話し込んでいるみたい。行ってみるか。

「見かけない子だね。どこから来たんだい?」
「はい…何処からでしょうか?」
「え?」

 あ、そう言えば…僕の故郷ってどういう土地の名前なんだ?まあ、とりあえず会話に参加するか。

「あ、僕達は結構遠いところから来まして…1週間位歩いてここまで来ました。」
「1週間!?それはまたずいぶん遠くから…旅のものですかい?」
「そんな感じです。あの…何処かに食料を売っているところはありませんか?最近雑草ぐらいしか食べてなくて…」
「え?ちょっと待て。旅するならば食べ物ぐらい…」
「既に尽きました。持っている限られたお金で町や村を通る毎に補充していたのですが、もう限界のようです。
 まあ、ここで最後に何か買った後…何か稼げれば良いのですが、無理でしたらまた雑草暮らしを続けながら次の村か町に向かおうかなと。」

 実際もう限界が近い。そもそも論僕は生きることさえどうでもよくなりつつある。だから旅に出てこっそりとか思っていたのにアマミちゃんがついてきてしまった。彼女を巻き添えにするのは本当に申し訳ない。

「ミズハさん?今日はここの村で止まりたいです!たまにはゆっくり休みたいです!」

 とは言われても…

「一応聞きたいのだが宿に泊まれるのか?」
「えっと…まあ、費用はないって言うか…稼げればワンチャンあるのですか。」
「今日は泊まります!もうずっとお風呂に入っていないです!」

 あわわ!それは僕も気にしてるんだから言わないで!

「…あー、ちょっと今日は私の家に泊まっていかないか?」

 え?

「あれだ。妻と二人暮らしでな。息子らは既に都会に出てしまってな。たまには賑やかな…」
「お、お願いします!…あ、だけど家賃が…」
「いや、1日ぐらい気にしなくて大丈夫さ。ただ…」
「ただ?」
「事情を聞かせてほしいな。十代後半の青年と前半の少女が二人で旅するなんて何かしらあるんだろ?
 なに、私は手を貸したいだけだ。」

 うーん。事情らしい事情は無いんだけど…。ただ、断れない。僕はまだしもアマミちゃんが我慢の限界。

「はい!よろしくお願いします!」

 アマミちゃんも即答か…まあ、警察じゃないんだし尋問はないかな。

 ということで、恐らく50代位のおじさんの後を付いていくことに…。
5:エナ◆y5SZb1A4LI :

2018/12/15 (Sat) 08:24:08

「ここだ。妻に話してくるからちょっと待ってな。」
「はい!」
「わかりました。」

 にしても助かった。取り敢えず今日は持ちそうだ。流石に明日も泊まるわけにはいかないが、暫し大きな休憩が取れる。今までは野宿だったからろくに休憩していないんだよね。野生生物に襲われる心配もあったから僕は気配を展開して回りを監視していたこともあったし…今日はそれをしなくて済む。

「今日は一杯休みます!明日も元気に冒険です!」

 さっき今後の旅について物凄く嫌そうな顔していなかった?

「アマミちゃん、ごめんね。早々からこんな大変な目に…」
「大丈夫です!今日は思いっきり休めますから!」

 それ解決策になってる?死が1日後ろ倒しになっただけだよ?

「あらー、お若いのに旅なんて…無謀なことをするものね。ほら、上がって上がって。これから買い物に行って来るわ!」
「おう。すまないな。」
「いいのよ。たまには賑やかってものも必要でしょう?貴方も息子達に早く独立して出ていけって言っていた割には、出ていったら萎れちゃって。」
「………」

 どうやら夫婦結果は妻の勝利のようである。うん?これは夫婦喧嘩ではないのか?知らない。

「アマミです!今日はよろしくお願いします!」

 挨拶早!いいなあ。僕もこれぐらいコミュ力があれば…

「ミズハと言います。お手数をお掛けして申し訳ありません。本日はよろしくお願いします。」
「あらー、かしこまらなくていいのよ。じゃあ貴方。この子達を宜しくね。」

 妻の方はそう言って出掛けていった。

「うん?妻も言っておっただろう。早く入りな。立っていては疲れるだろう。」
「あ…じゃあ、お言葉に甘えて…」
「久しぶりのお家でーす!!」

 ちょっとアマミちゃん!はしゃぎすぎ!ここはよそ様の家だよ!

「あ、アマミちゃん!?」
「気にしなくていいぞ。その子の年頃的にはまだはしゃぎたい気持ちも残っているだろう?」

 いや、それは年齢的問題より性格的問題だから。明るい性格だけど色々扱いにくい子だから。大変だから!

 そんなこんなで靴を雑に脱いで家の中へ駆け込む少女を眺めながら靴の整理整頓をしておく。

 そして居間に案内された。これはソファーかな?

「ここに座りなさい。疲れているだろう?」
「ありがとうございます!うわ、柔らかいです!気持ち良いです!」

 おい寝転ぶな。私が座れない…と言うよりソファーが汚れるからやめて!僕達着替えの服とか持ってきていなかったから1週間前から同じ服なんだよ!野宿もしてるんだよ!汚いよ!と言うかもう汚れちゃってるんだけど!

「あ…あの…僕は汚れているので立ったままで良いです。アマミちゃんがソファーを汚してしまって申し訳ありません。後に弁償しますので…」
「あー、気を使わせてしまったようだな。気にしないでくれ。君達の外見から既にボロボロの服を着ていることぐらいわかってるさ。」

 ボロボロか…実際穴とかは空いていない。ただ汗や泥で汚れているだけ。だけど流石に清潔からはほど遠いか…。

「そんなに気を使うなら先に風呂にでもはいるか?着替えなら…ちょっとお前達には大きいかもしれないが息子達の寝間着服はある。
 アマミだったかな?女の子の服はないから我慢してもらいたいが…」
「大丈夫です!嫌ですけど、我慢します!」

 おい!本音駄々漏れにするな!…因みに僕は男装しているけど女子なんだよね。まあ、男物の服には慣れているから気にしないけど。いつも男子の服着てるしね。

「すいません。ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます。
 アマミちゃん。あまりわがまま言っちゃいけないよ。と言うより言える立場じゃないよ。」
「ムーです。」

 ほっぺを膨らませたアマミちゃんはかわいい。これ鉄則。

「じゃあ、そっちに風呂場があるから入ってきなさい。」
「何から何までありがとうございます。アマミちゃん、先入る?」
「はい!行ってきます!」

 別に走っていかなくても…。と言うより着替えは?

「入っている間に着替えを持ってきておくから待っててな。」

 あ、気を使ってくれてありがとうございます。

 まあ、そんなこんなでどっちも入浴を済ませました。何でも、今まで着ていた服も洗濯してくれるとのこと。有難い…んだけど。

「あの…洗濯していただかなくても。僕達明日には…」
「なら明日ぐらい休んでいきなさい。ずっと旅を続けていて休んでいないんだろう?」
「そうですけど…あまり迷惑をかけるわけには…」
「帰ったわよー。」

 奥さんが帰ってきたようだ。因みに奥さんと言う言葉は差別用語らしい。噂によると妻も差別用語?男女の差別をしないためには配偶者と呼ぶべきなんだって。そんな夫婦は見たことない。

「ああ、お帰り。なあ、この子らについてなんだが…」

 旦那さんが妻の方に行き向こうで話し合っている。

「良いわよ。明日はゆっくり休んで明後日に出発しなさい。」
「え、だけどご迷惑が…」
「気にしなくて良いわよ。今日はゆっくり休んで明日旅の事についてゆっくり聞かせてちょうだい。」
「あ、はい。」

 結局尋問を受けることには変わらないらしい。取り敢えずネタは作っておこう。まあ、アマミちゃんは正直すぎるからあまり逸脱した内容は作れないかな。嘘つけとは言えないし…と言うか従わないし。

「じゃあ、夕食ができたら呼ぶから待っててね。」
「はーい!」

 元気だなあ、アマミちゃん。

「ミズハさん!」
「うん?どうかしたの?」
「この服ブカブカすぎます!転びそうです!」

 うん。知ってた。袖も裾も普通にアマミちゃんの体にしては大きすぎる。私だって若干大きいと感じてる。

「済まないね。息子はミズハさんよりも20cm位大きかったからな。」
「そうなんですか。」

 180cm越えか。でかい。化け物だ。

「すごいです!恐竜さんです!」

 それはでかすぎる!

「はっはっは。」
「夕食できたわよー?」
「あ、はい。何から何までありがとうございます。」
「いえいえ、困ったときはお互い様よ。」

 取り敢えず助かった。次いでにもう1日居させてくれるらしい。とは言えタイムリミットは1日。それまでの間にお金を収入しないと3日持たない。出来ればこの村でお金を稼ぎたいが…とは言え結局この村の宿か何かを使えば結局貯まらない。何とかせねば。

 夫婦達は僕らが今日疲れていると判断したのか食事中特に僕らを質問攻めにするようなことはしなかった。まあ、僕もアマミちゃんも久しぶりのまともな食事でがっついていたからね。しょうがないね。

 と言うことで、特に何もなく一軒家で一晩過ごし…翌日も朝食を頂き、洗濯物は折角洗ってもらったので干すのは手伝ったりした。が…

「あわわわわ!!!」
「あらあら大丈夫?無理してそんなに運んじゃダメよ?」

 ドジっ子には洗濯物は運ばせない方が良さそうだ。今日の教訓。
6:エナ◆y5SZb1A4LI :

2018/12/24 (Mon) 17:30:27

 因みに今日はこの夫婦の息子さん達のお下がりを来ている。寝間着同様ブカブカなためあまり動きたくはないが…それでも動こうとするからこうなる。

 なおアマミちゃんは、服はさておきつば付きとんがり帽子は被ったままである。流石にこれは洗濯とかの話じゃないからね。

 そんなこんなで昼食時…なお、どうやら今日は休日らしく夫婦ともに家にいる。既に僕らは日付感覚が狂っているので休みなのかもといったことしかわからないんだけどね。

「その帽子はお気に入りかい?」

 旦那さんの方から質問が来た。

「はい!魔女さんはいつもこんな帽子を被ってるんです!私も魔女だから常に被るんです!」
「そうかそうか…うん?魔女?」

 あ、余計な情報が漏れたか?

「魔女ってあの…人間の村とかを襲ったりする…」

 そうなの?!いや、例えそうだとしても少なくともこの子はしないよ?!

「そうなんですか?!魔女さんは村を襲わなくちゃいけないんですか?!」

 それは絶対に違う。

「あー、えっと…この子は色々あって魔女だと思うけれど…別に誰かを襲ったりしないから安心してください。
 それとアマミちゃん?誰かを襲っちゃダメだよ?」
「そうなんですか?!」

 そうだよ!

「わかりました!襲い方もよくわからないですしそうします!」

 いやいや、襲い方がわかっても襲っちゃダメだよ!

 でもそう言えば、アマミちゃんが魔法を使うのは見たことがないなあ。

「そうか…。いや、まあ…こんなに若いんだ。まだそこまで良いことも悪いことも分からないだろう。いいかい?悪い魔女になっちゃダメだぞ。」
「はい!悪い魔女がなんだかわからないですが頑張ります!」

 分からないなら頑張り様がないだろ!

「でも、本当に魔法が使えるの?私、結構生きているけれど魔法なんて殆ど見たことがないわ。」
「そうだな。何か見せれるものはないのか?」

 殆ど?全くじゃなく?使える人は他にもいるのかな?

「うーん…魔女なんですけど魔法を使ったことがないです!」
「そ、そうなのか!?」

 多分そうだと思う。僕も魔女のアマミちゃんが何かをつかってるところは見たことがない。

「…あ!そうです!いいこと思い付きました!」

 うわ、嫌な予感しかしない。

「えっと、その腕の傷見せてもらえませんか?」
「うん?ああ、これは古傷だ。昔下手に挟んじまってな。それ以来傷跡が…」
「じゃあこうします!」

 アマミちゃんが自分の手の平を彼の古傷に当てている。治療でもするのかな。逆にここで手から破壊光線的なものがでたら鬼畜過ぎるが…

「痛いの痛いの飛んでけです!」

 はい?それ古傷だよ?!既に痛みぐらいは退いてるはずだよ?!ほら、夫婦揃って顔をしかめてるよ!

「出来たです!」
「うん?…おお…」
「どうなった?」

 私も気になってその古傷を見てみようとしたら…完全に消えている。マジか。

「う、嘘みたいだ。完全に治ってる。」
「す、凄いわ!本当に魔女なのね!」
「えへへです!恩返しです!」

 これが魔女の力?うーん、なんか突っかかる。と言うよりさっきの発言が呪文とか言わないよね?あれは普通におまじないだし…あれで怪我が治るなら病院要らないよ?

 そう言えば、アマミちゃんが手を当てたとき若干手の平が明るくなったように見えた気がする。あくまで気がする。多分魔法行使と言うやつだろうか?

「魔法ねえ。最後に見たのはいつ以来かしら…。」
「魔法ってそんなに使える人がいるのですか?」

 実質、アマミちゃんが例外だと思っているんだけど。

「あら、勿論誰でも使えるものではないわ。私も旦那も使えないし。でも使えると便利そうよね。」

 まあそれは便利だと思う。

「でも、稀に使える方もいるのよ?噂では少し先の都会でそう言うのを養成している学校もあるって聞くし。」

 そんなのもあるのか!?じゃああれか?そこにいけば誰でも魔法を使えたりするのか?

「養成してるって言っても元々素質があるやつ以外魔法は出来ないと思うがな。さっき妻が言った通り魔法なんて誰でも使えるわけではないからな。」

 まあそうか。まあ、仮に何かしらで行く機会があれば調べてみることにしよう。

「養成学校か。因みにアマミちゃんは行ってみたい?」
「え…学校ってなんですか?」

 駄目だ。以前問題の話だった。

「ところで、どうして旅なんかしようと思ったんだい?この子が魔女だからとかか?」
「あ、いえ。元々僕一人で一人旅の予定だったのですが…この子がついて来ちゃいまして。」
「そうなの。因みに兄妹?兄妹ならミズハさんも魔法が使えるの?」
「いえ兄妹ではないです。」

 魔法は使おうと思えば使えると思う。だけどそれは言わない。

 元々僕は魔女でも何でもないので魔法なんて使えない。だけど、僕には他人の力や能力を奪い行使できる能力がある。それを応用すればアマミちゃんが側にいる以上恐らく可能。

 とりわけ、この世に他にも魔法が使えるやつが存在するのであればアマミちゃん無しでもいける。ただ…僕のこの能力がこの世で存在するのか、はたまたレア中のレアでバレると大変なことになるのか分からないから言わない。

 アマミちゃんは勿論僕の能力のことは知っているけど流石に話題に出ない限りは言ったりしないだろう。フラグじゃないからね。

「違うのかい?じゃあどうしてまたついていこうと思ったんだい?」
「独りぼっちは寂しいです!だからついていったんです!」
「そ、それだけかい?」
「はい!」

 いやもっと色々ありそう…いや、本当にそうなのかもしれない。ここはアマミちゃんじゃないからわからない。

「僕は色々この世の中の生き物について興味がありまして…それを調べるために旅をしています。」
「あら、じゃあもしかして研究者か何かなのかしら?」
「そう言うわけではないのですが、まあ趣味の範囲内です。
 ただ、旅を決心して旅立ったは良かったものの、費用不足と食料不足に悩まされるとは考えていませんでした。あまり不馴れなものは行うべきではないですね。」
「そうか。まあ、まだ若いんだ。今のうちに失敗しておけ。私も若い頃は旅に出たいと憧れたもんだ。そういう意味では良い経験をしていると思うぞ。」

 良い経験か。既にこのままいけば数日持たずアマミちゃん共々共倒れになるけど。

「それでだ。流石に何日も面倒は見れないが、お金を稼ぐ方法ならあるぞ?」
「え!?」
「ああ、さっき私も旅をしたいと思ったことがあると言っただろう?実はそれがあって登録したものがあるんだ。」

 登録?
7:エナ◆y5SZb1A4LI :

2018/12/27 (Thu) 23:18:05

「ああそう言えば貴方、冒険者ギルドに登録していたわね。私と結婚してから殆ど出掛けなくなったけど。」
「まあ、安定はしていないからな。家庭を持つ過程で冒険者をやめ定職に就いたがな。
 ただ、定職についちまうと安定の代わりに高利益も得られなくなったのは残念だったが…。」
「冒険者ギルド?」
「そうだ。知らないのか?折角だ。昼食の後教えてやる。なんなら案内しても良いぞ。」
「ではお願い…あの、それってこの村にあるんですか?」
「ある。まあ、もう10年以上行っていないがな。」

 冒険者ギルドか。全く聞いたことないな。冒険者が集まる場所?あ…だけど…

「すいません。概要には興味がありますけど、案内は明日早朝にしていただけないでしょうか?」
「うん?午後から何かあるのか?」
「いえ、ただ…この服装で今日は歩き回りたくないと言うか…。」

 さっきからずっと気にしているけど、この服ブカブカだからね!アマミちゃんなんてもうずっと引きずっちゃってるからね!

 …ドサッ!

 言ってる側からアマミちゃんが転けたのですが!

「大丈夫?」
「大丈夫です!」
「頭から血が流れてるよ!」

 手が服から出ないからって頭から地面につけて良い訳じゃないよ!大怪我するよ!

「大丈夫です!こうして手で傷を押さえるとー、元通りです!」

 色々たくましいな!いやいや回復魔法の乱用はやめよう?

「不思議な子ね。」

 もう突っ込みは放棄する。疲れた。

 それでもって昼食後ギルドについて簡単に教えてもらった。話によると冒険者以外にも色々と種類があるらしい。ただ、僕達は旅をしているので冒険者ギルドであれば旅の途中で依頼とか納品物等を納めれば一応お金になる。まあ、簡単なものは無いと思うけど餓死するよりは掛けてみる価値はある。

 話を聞くとランクと言うものがあるらしい。教えてくれたこの旦那さんはDランクだそうだ。基準はよくわからないけど…まあ、素材回収系なら一通り行えるレベル?勿論強い野性動物とかを狩れるとなるともっとランクが上がるらしいが、D程度であれば基本人間に害は与えないレベルの生物の狩りらしい。

 まあ、どうでも良いけどその冒険者うんちゃらがこの村にあり登録できるそうだ。昔と登録方法が変わっていないのであればこの旦那さんに教えてもらえば登録できるはず。

「私もやってみたいです!」
「え?」

 アマミちゃんもやる気なのか?!いや、なんか場合によっては危ないものもあるらしいし…。

「ミズハさんだけはズルいです!」

 もう理由がよくわからないよ?ズルいって何?抜け駆けするつもりはないよ!?

「アマミちゃん?流石にその年齢じゃ危ないかもよ?」
「そうだな。確かに登録年齢に制限はないが私も10代後半で登録したしな。」
「はい!だったら参加できます!」

 二人ともフォローありがとうございます。そして余計な情報は要らなかったかな…。

「すいません。こうなってしまうとこの子言うことを聞かないもので。ですから僕の旅にも付いてきてしまって…」
「ミズハさんも苦労されているのですね。」

 はい。

「まあ、危険な物を受けなければ大丈夫だろう。この様子じゃあミズハ君がやると言ったものだけやる雰囲気だしな。
 収入においては物によってピンからキリまである。具体的なことは明日ギルドにいってから教えてやるからそれまで待ってな。」
「わかりました。」
「はーい!」

 お金を稼ぐためと考えている僕だけど多分アマミちゃんはお遊び感覚なのかな。依頼を受けるときは僕がちゃんと見極めないといけないかな。無茶な依頼を受けて死んでしまっては元も子もない。

 まあ、こんな感じで情報提供と情報収集は終わって取り敢えず明日までは体力回復と明日以降の計画立てをすることにした。出来るだけ安全且つ確実的に収入を稼がなくてはならない。まだ冒険者うんちゃらに行っていないので何があるかは全くわからないが予測しておくだけで何かは変わると思う。多分。

 それに、出来れば多額は無理でも収入を稼いだらお世話になったこの夫婦に若干でも家賃を入れておきたいと思う。2人日分は多分無理だろうがそれでも形だけでもやっておきたい。

 そう思いながら夕食を食べ入浴し就寝した。で、次の日…

「じゃあギルドに案内するから着いてきな。」
「よろしくお願いします。」
「ギルドってなんですか!」

 忘れるの早!もう突っ込まないよ?!

 僕らの服は綺麗に乾き、痛んではいるものの汚れは殆ど完全に取れている。まあ、穴とかは空いていないから問題はないけど…回りから見たら若干貧乏臭いように見られるのかな。勿論、アマミちゃんはとんがり帽子、もう魔女帽子って言うよ、も被っている。

 どちらにしても新たなものにチャレンジするのは一種の新鮮感があってワクワクする。最も冒険者なんちゃらで今後地獄を見るかもしれないが…

「着いたぞ。」
「結構大きい建物です!」

 そうかな?まあ、施設なんだからそこいらの家よりは大きいか。

「えっと、扉が閉まっていますが入って大丈夫でしょうか?」
「ああ、問題ない。」
「楽しみですー!」

 ちょちょ、先いかないで!僕はコミュ障だからよくわからない施設にはいるのには勇気が…ってもう入っちゃってるし。アマミちゃんのそう言うところは尊敬するよ。

「ははは。元気がよくて何よりだ。」
「そ、そうですね…。」

 入ってみると意外に人が多い。結構人気のバイト感覚なのかな?チラチラこっちを…違う、アマミちゃんを見ている方もいる。まあ、場違いか。

「おお、久しぶりだな。」
「やあ、元気かい?」

 先ほどの旦那さんは誰かと話し始めた。多分旧友か何かだろう。僕やアマミちゃんは全くわからないので彼の後ろで様子見している。

「いやはや、どっちも若いねえ。特にお嬢ちゃん?あまり若くしてやるようなものじゃないよ?」
「えー、面白そうです!」
「あはは…。」

 もう笑ってごまかすことにする。僕もアマミちゃんがこんなことを行うのは若すぎると思うが彼女意外に頑固だから説得するのは諦めた。

「それでだ。そっちに受付があるから登録してもらえるぞ。まあ、手順がよくわからないだろうから私も付き添う。」
「あ、ありがとうございます。」

 旧友と話ながらもこっちの手続きも手伝ってくれるらしい。こう言うときに伝があると非常に助かる。
8:エナ◆y5SZb1A4LI :

2019/01/07 (Mon) 21:57:22

「はい。こちら受け付けになります。」
「おう。すまんが新規で冒険者ギルドに登録させたいんだが。」
「させたいですか?どちら様でしょうか?」
「ああ、こいつらだ。」
「ミズハです。」
「アマミです!宜しくです!」

アマミちゃん。年上だよ。もう少し敬語使おう?

「え…そちらの方はまだ12~3歳程度ですよね?大丈夫ですか?」
「何、別に登録しても素材探しぐらいなら出来るだろう。どのみちこのミズハと一緒に旅しているみたいだから、独りで依頼を受けるなんてこともあるまい。その為に年齢制限も付けていないんだろう?」
「まあ、確かにそうですね。わかりました。それでは簡単な書類を書いてくれませんか?書類が書けないようでしたらご連絡ください。」

 書類が書けないって?怪訝そうな顔をしてたら旦那さんが教えてくれた。

「ほらあれだ。冒険者になるために文字の読み書きは必須じゃない。まあ、大抵は書けるがたまに物凄く貧乏等で教育を受けずに出稼ぎで登録するやつもいるからな。」

 成る程。そういう意味だと僕らはまだ恵まれている方なのかな。いやいや、元々旅なんてしなければこんな貧乏生活になるはずはない。僕らはある意味で例外。

 取り敢えず書類を書いてみよう。アマミちゃんがすごく複雑そうな顔してるし。

 書いてみるとこんな感じになった。

------------------------
名前:ミズハ
年齢:(空欄)
職種:(空欄)

以下略
------------------------

 いや、だって書くことないもん。年齢は企業秘密にしたい。でも容姿的には17~18位かな。

「ミズハさーん。何て書けば良いか分からないですー!」

 うんごめん。僕もわからない。アマミちゃん年齢いくつ?容姿的には12~13位だと思うけど。

 職種って言われても働いていないしわかりません。

「なんだ?空欄だらけじゃないか?文字書けないのか?」

 書けるわ!

「あ、いえ…なんと書けばよいか全くわからなくて。」
「どうかなさいましたか?」

 受付の方が来てくれた。どうやら新人は皆こんな感じらしい。

「わかんないでーす!どうにかしてください!!」

 誰にお願いしているんだろう。

「あー、それですね。最低限名前さえあれば残りはこちらで手続き致しますので…年齢も書けませんか?」
「ごめんなさい。僕はあまり個人情報を書きたくないもので…」
「分からないです!無理です!」
「おいおいそれぐらいは良いだろう?こういう書類はちゃんと書くものだぞ?」

 僕が年齢を書きたくない理由は幾らかあるが一番の原因はアマミちゃんが年齢を書けないと言うところにある。これは間違えないと思うが、アマミちゃんは魔女と言うところもあり見かけと年齢が噛み合っていなくてもおかしくはない。でも、だからアマミちゃんだけが年齢を書かないと理不尽になる。

「自身のご年齢が分からないのですか?」
「えっと、僕は大体予想がつきますが…この子は本当に分からないと思います。」
「そうなのか?」

 なんと説明したら良いんだろうか。

「あまり細かいことは話せないんです。ただ、この子か年齢を書けなくて僕だけ書くと何となく仲間はずれになりそうな気がして。」
「そうですか。それでは大体の年齢をお書きください。あまり逸脱していなければ構いません。」

 結構適当だな。それで良いのか?まあ、情けで通してもらえるならそうしよう。もしかしたら、こういうギルド系では自身についてよくわかっていない方も登録しに来るのかもしれない。

「わかりました。では自身は18歳と記入します。アマミちゃんはそうだね。大体12歳にしておこうか。」
「わかりました!」
「18か。やはり旅立つには早いと思うがな。」

 結構そこを気にするんだ。まあ、いいや。世間一般ならそうなんだろう。世間なんて知らない。

「職種についてですが何かご要望はありますか?」
「ご要望とは?」
「はい。冒険者に成るに辺り出来ればやってみたい職業を記載していただきたいです。昇格するためには何かしら記載している必要があります。
 勿論途中で変更しても構いませんし、複数を兼任することもできます。但し、メインを変えるのであればそれに伴いランクも変動する可能性もあります。」

 なんだか色々面倒くさいな。

「いえ、大丈夫です。取り分け昇格には拘りはありませんから。」
「しかしだな。何かを決めておいた方がよいぞ?稼ぎたいのだろう?ランクが高い方が収入も増えるってもんだ。信頼も増えるからな。」

 うーん、そう言われると考えた方が良さそうだが…いきなり職種と言われてもわからない。

「職種って具体的にどの様なものがあるのですか?」
「そうですね。例えば剣を主に戦う剣士とか槍を中心に戦う槍士とか…」

 あー、そう言う系か。じゃあ要らないわ。別にやりあうつもりはないし。

「じゃあ大丈夫です。僕は戦うのは苦手ですから。」
「おいおい、戦わないと冒険者はやっていけんぞ。少なくとも素材回収で獲物を採ると言うことは…」
「嫌です!動物さんを苛めてはいけません!」
「え…?」

 アマミちゃんが明後日の突っ込みをいれた!

「あ、ごめんなさい。アマミちゃんはこう言う性格なので…」
「ウサギさんがかわいそうです!」

 なぜウサギが出てきたのかな?

「あー、えっとだな…」

 ほら旦那さんもパニック起こしてる!

「まあ、今現在すぐに決めろと言うわけではありません。実際に冒険者を行っていく上で回りの方々を見てやりたいものがあれば再度報告してください。」
「わかりました。」

 やりたいことか…。うーん、どうだろう。さっき旦那さんが言っていたが職種を決めないとランクが上がらず収入が増えない。別に金持ちになりたいわけではないけど流石に毎日雑草暮らしは避けれるぐらいの収入は必要か。

「アマミさんは何かご要望はありますか?」
「私ですか?なんの話ですか?!」
「そこに書いてある職種の話だよ。」

 一応話は聞いておこう?まあ、僕も興味ないことはスルーするので人の事は言えない。

「職種ってなんですか?」
「うーんと…まあ、やってみたいことかな。アマミちゃんは何をやってみたい?」
「はい!魔法を使って皆さんを助けたいです!」
「魔法?」
「ああ、この子は魔女らしい。あくまでアマミとミズハの話を聞く限りなんだが。」
「魔女ですか?あの、ちょっと気分を損ねると世界が火の海になると言う…」

 ちょっと待って?何?魔女ってそんな危険な生物なの?怖いよ?常にアマミちゃんと一緒にいるけどこの子将来本当にそんなことするの?

「あー、いや、見たところまだ子供らしい。それに数日過ごしているが魔女の帽子を被っていること以外は普通に只の女の子だ。そんなに気にしなくても大丈夫だとは思うが。」
「そうですか。まあ、近所に魔法使いが住み着いていると聞いたことがありますし問題はないですかね。」

 何その情報?また怪訝そうな顔をしていると旦那さんが教えてくれた。僕自身は感情をあまり顔に出さないタイプなんだけどこのおじさんは結構読み取っている。逆にすごい。
9:エナ◆y5SZb1A4LI :

2019/01/13 (Sun) 11:28:01

「ああ、まあ気にするな。昔からある噂だ。実際森の奥で稀にここいらにいない男性を見たという証言がたまにあるんだ。私達とは結構異なる服を着ているらしいからそう呼んでいるだけで別に魔法使いと決まったわけではない。」
「じゃあどうして魔法使いという噂なんですか?誰かが住んでいるとかじゃなくて。」
「彼もこの子同様魔法は使えるらしいんだな。ただ、都会にも魔法が使える魔術師はいるがさっきも言ったが服装に違和感があるらしい。だから魔術師じゃないんじゃないかとか言われている。他にも理由はあるんだが、まあきっかけがあればまた話してあげるよ。」
「そうですか。」

 魔術師が魔法を使えることはわかる。おそらく魔法使いも魔法が使えるんだろう。だけど先ほどの説明ではその違いは服装だけみたい。じゃあアマミちゃんも服装の違いだけで選別されるのだろうか?

 いや、それはなくないかな?だってこの子魔女帽子以外服装もいたって普通だよ?じゃあいったい何が違うんだろう。そこら辺の定義もガバガバなのかな?

「あのー、職種には何て書けば良いんですか!?魔女でよいですか?!」

 おっと、アマミちゃんのこと忘れてた!

「あ、魔女という職種は冒険者ギルドにはありません。」

 え、そうなのか。

「アマミさんが魔法を得意とするのであれば魔術師とお書きください。ところで魔法は使えますか?
 剣士や弓士等は例え初心者であっても練習することにより上達することは出来ますが、魔術師の場合魔法が使える素質がなければどれだけ努力しても出来るものではありません。
 また、魔法が使えても威力が弱い場合は他の職種をおすすめします。やはり魔法の力は努力でどうにか出来るものではありませんので。」

 そうなのか。まあ、確かに剣術とかは習えばどうとでもなるかもだけど、魔力なんてトレーニングで出来るようなものじゃないしね。もし努力して誰でも出来るならおそらく誰でも最低限の魔法は使えるように成るに決まってる。剣士じゃなくても剣ぐらいは誰でも持てるからね。

「分かんないです!」

 アマミちゃん?そこを強調してもなんにもならないよ?

「うむ。確かにこの子は魔法を使えることは間違えない。私の古傷の後も消してくれたしな。ただ、それだけで魔術師になれるかどうかは分からないな。」
「私は魔女です!そのまーえっとよくわからないのじゃないです!」

 まーえっとじゃなくて魔術師ね。アマミちゃんには難しい言葉なんだねきっと。

「その魔法はどういったものですか?」
「ああ、詳しくは知らないんだが…」

 受付と旦那さんが詳細を喋ってる。その横で様子を見ていた旦那さんの旧友はずっと盗み聞きしているみたい。後、ギルドにいる他の連中はちらちらアマミちゃんを見ているみたい。魔女という言葉が聞こえてしまったからだろうか?

「ミズハさーん!書き方わからないです!職種のまーなんとかってどうやって書くんですかー!?」

 ちょっと待ってね。今そっちで話し合い…うん?

「アマミちゃん。念のため聞きたいけど魔術師って書ける?」
「まじゅつしですか?はい!書けます!」

---------------------------
職種:まじゅつし
---------------------------

 うん知ってた。駄目だ。僕が代わりに書くことにしよう。

「それは本当ですか?」

 うん?向こうで進展があったみたい。

「ああ、私も魔法は詳しくないから分からないが少なくともあの子は呪文を唱えていなかったぞ?最も、『痛いの痛いの飛んでいけ』が呪文ならば話は別だが。
 それに、自身が怪我したときは呪文らしい呪文も唱えていなかったな。」
「無詠唱魔法ですか。わかりました。」

 無詠唱魔法?なんだそれ?うん?急に周りがザワザワし始めたんだけど?

「アマミさん。職種には魔術師とお書きください。それと、ランクですが飛び級になるかもしれません。」
「飛び級ってなんですか?!」

 マジか!?

「ああ、飛び級って言うのは言葉の通りのことだ。普通初心者はEランクから始まってその職種に慣れてからDランクに上がる。
 君の場合はもう十分に慣れているからDからでも問題ないと言う…」
「いえいえ、確かに今回はDから始まると思いますが直ぐにCへ、場合によってはBになる可能性もあります。」

 なんだって!?!色々飛躍しすぎだろ!!そんなランクってガバガバ過ぎるのか?アマミちゃんがそんな簡単に昇級できたら世の中もっと上のランクだらけになっちゃうよ!

「Dってなんですか!?」

 場違いがいたんだけど!!

「す、すいません。確かにこの子は魔女ですけどだからって冒険者のランクってそんなに簡単にコロコロ変わるものなのですか?」
「本来はそう言うことはありません。ただ、無詠唱魔法は平均的な魔術師では出来ないものなのです。大抵の魔術師は魔法を放つ際必ず呪文を唱えます。唱えなければ魔法の威力が低くなり、又は魔法が出ず意味がないからです。
 それが簡単な回復魔法とはいえ…いえ、古傷といった治しにくいものを治すとなると簡単ではないのですが…しかもそれを無詠唱擬きで行えるとなるとCランクでもおかしくなってしまいます。
 ただ、アマミさんは初心者でありますから経験の都合上いきなりCでは厳しいと思いますので…とは言え少し慣れたら直ぐに昇級になると思います。自身の力にそぐわないランクを持つのは他の冒険者とギルドが揉める原因になります。」

 うーん。なんだかよくわからないけど大人の事情と言うやつだろうか。まあ、そこのところは任せよう。取り敢えず冒険者登録できれば後はなんでもいい。あくまで目的はお金稼ぎなんだから。

「アマミちゃん。その書類貸して。僕が書くよ。」
「え?大丈夫です!自分で書けます!」

 書けないじゃん!魔術師って書けないじゃん!平仮名だったじゃん!と言うかさっきから分からないって叫びまくってたじゃん!

「ミズハさんが意地悪ですー!ムーです!」

 ほっぺを膨らませるアマミちゃんは可愛い。これテストに出るからね。

「アマミ、ミズハに任せた方がいい。さっきから書類を見ているが平仮名だらけじゃ流石に読みにくいと思うぞ。漢字の勉強はしたことあるか?」
「ありますよー!一とか二とか書けます!頑張って覚えるんです!」

 うん。ごめん。自慢になっていない。まあ、年齢的に複雑な漢字は書けないとは思う。最も見かけで判断してるけど。

 そんなこんなでアマミちゃんが強情を張って仕方がないので一緒に書きました。
10:エナ◆y5SZb1A4LI :

2019/01/28 (Mon) 10:03:33

「それではこのバッチをお取りください。冒険者の会員バッチです。」
「ありがとうございます。」

 バッチを見ると冒険者と言う単語と名前、後はランクが書いてある。最もバッチそのものが小さいので遠くから見れば何と書いてあるかはわからないと思うけど。

「身に付けている必要性はありませんが冒険者の身分証明になりますので常に持ち歩く様よろしくお願いします。
 又、無くされると再発行には手数料を取られますのでご了承ください。」

 うわ、難しい注文だなそれ。無くしそう。特に…

「ミズハさーん!落としましたー!探してください!!」

 早いよ!無くすの早いよ!まあ、有ったから良かったけどね。

「アマミちゃん。僕達は着けておこうか?別に遠くから見えるものじゃないし…無くすわけにはいかないから。」
「はい!じゃあ、えーっと顔につければいいんでしょうか?」

 それボタンピンだよ!?間違えなく痛いよ!と言うよりどうやって付けるの!?

「普通に帽子に着ければ良いのではないでしょうか?」
「そうだな。お前たちどっちも形は違えど帽子を被ってるからな。服とは違って毎日変えるものじゃないから基本付けっぱなしで問題ないだろう?」

 確かに。少なくとも顔に付けるよりはマシなのでそのアイデアを採用させてもらう。

 因みにランクは僕がE、アマミがDとなっている。ランクが違えどバッチに大きな違いはなさそうなので遠くから見たら全く同じものにしか見えないと思う。本当にただの身分証明書的なもののようだね。

「さて、登録も済んだことだし…次は仕事探しだな。こっちに掲示板がある。付いてきてくれ。」

 僕達は旦那さんの後についていく。旧友の方は彼の仲間がいるところへ帰っていった。

 ただ、移動中まだこっちを見てくる方…まあ冒険者なんだろうけど…がちらほらいる。と言うより、さっきよりも見ている冒険者の数が増えていない?!そんなに気になるのかな?特に何か問題は起こしていないよね?

「他の冒険者の方が見てきます!恥ずかしいです!」

 そう言う感情をアマミちゃんは持つのか。

「まあ、物珍しさと言うやつだろう。あまり気にするな。何かされたら話は別だが。」
「何かされることはないですよね?」
「保証はしないがな。」

 保証はしてください。僕達強くありませんので。アマミちゃんが既にBランク候補?知りません。

「ほら、これが掲示板だ。」
「色々貼ってあります!」
「まあ、もう昼だから大分減って来てはいるがな。ここにある依頼から好きなのものを持っていけば良い。まあ、好き嫌いしていたらお金は稼げないがな。」
「分かりました。」
「依頼が決まったらあそこの受け付けに持っていけば受理してくれる。そうそう言い忘れていたが、依頼にも難易度がある。あまり自身にそぐわないものを選ぶと受付に弾かれるからな。
 まあ、仮に弾かれなかったとしてもそぐわないものを選ぶと言うことは場合によっては命に関わることもある。金が欲しいからと言っても命の方がそりゃ大事だからな。初心者のうちはなれるまで我慢だ。」
「成る程。無茶をしなければ良いんですね。」

 逆に考えれば、無茶をしなくても稼げる方法があるならバンバン使っていこうと思う。僕らは貯蓄が底をついている。多少卑怯であっても手段を選んでいたら終わってしまうのだからやるしかない。

「因みに依頼を受けなくても稼ぐ方法はあるから伝えておくぞ。」

 え?そんな便利な方法があるのか。

「獲物や素材を採取してギルドの受付に持っていけばそれ相当の額で買い取ってくれる。私は若い頃依頼を受けてその途中で色々採取し依頼をこなしたら素材も次いでに売っていたりしたな。素材料と依頼料で意外に稼げるぞ。まあ、あまり素材をたくさん集めると持って帰れなくなるがな。」

 成る程。流石経験者。色々知っている。じゃあ今回からも依頼を受けながら適当に採取することにしよう。問題は採取したものをどれだけ運べるかかな。流石にアマミちゃんにたくさん持たせれないし、僕も一応少女の分類に入るからたくさんは運べないし。

「説明としては以上だ。何か質問はあるか?」
「いえ、わざわざありがとうございました。」
「はい!お腹が空きました!どうすればいいですか!」

 それ関係ないよね!

「お腹が空いたんです!どうにかしてください!ミズハさんを食べます!」

 意味がわからないよ!?何?僕ってそんなにアマミちゃんに嫌われてるの?!

「ミズハさんは優しいので美味しそうです!」

 訳がわからん!

「じゃあ、昼食ぐらい食べていくか?」
「え、でも…もう2泊もさせてもらいましたしこれ以上迷惑をお掛けすることには…」
「お嬢ちゃん達、じゃあ僕らと昼食を食べないかい?」
「え?」

 誰?

「うんにゃ?お前さん達も冒険者かい?」
「そうだよ。むしろ冒険者じゃなければここにはいないさ。」

 まあ、確かにそうだよね。

「お腹すきました!食べます!」

 あああ!!!勝手に行かないで!!

「はぁ。」
「まあ、冒険者も良い奴はいるからな。折角だ。食べさせてもらえば良い。」
「だ、だけどお金が…」
「気にしなくて良いよ。僕らの奢りさ。」

 いきなり奢られた。僕はこう言うときものすごく警戒する。要は馬が良すぎるんだよね。とはいっても既にアマミちゃんは彼らの席についちゃってる。と言うか既に食べ始めてる。

「わ、分かりました。えっと、一緒に来ますか?」
「いや、私はもう一度さっきの旧友と話そうかなと思ってだな。さっき中途半端に終わらせちゃったしな。
 なに、そんなに不安な顔をするな。お前達が依頼を受けて旅立つまではここにいるから。初めては色々大変だがまあ色々やってみな。」

 そ、そうだよね。あまりこの旦那さんに甘えちゃいけない。僕は旅に出ると言ってアマミちゃんと一緒にここまで来たんだ。これから冒険者として何が起きるかわからないけどここで不安だからってくよくよしていてはいけない。昼食後は自分達で依頼を見つけて自分達で稼いで自分達で生きていく。旅の目的を達成するために。

「分かりました。じゃあ僕もアマミちゃんのところに向かいます。ここのギルドが僕達の新たな出発点です。」
「そうだな。少なくとも餓死で死んだなんてことがないようにな。まだ若いんだから。」
「はい。今までお世話になりました。」

 僕はアマミちゃんのところに向かっていく。まだあのおじさんはこのギルドにいるみたいだけど、これ以上は頼らないようにしよう。
11:エナ◆y5SZb1A4LI :

2019/02/10 (Sun) 14:48:53

「これ美味しいです!これも欲しいです!」
「あ、アマミちゃん?遠慮しよう?奢って貰ってるんだからってがっついちゃ駄目だよ?」
「気にしないで良いわよ?ところでさっき話を聞いていたけど、魔法が使えるの?」
「はい!魔女ですので使えます!だけど殆んど使ったことがないので分からないです!」
「魔女?」
「一町を一瞬で消滅させたと言う伝説が残る…」

 あ、又余計な情報が流れた。と言うより魔女の設定やばくない?本当の危険生物に聞こえてきたよ?アマミちゃんはそんなことしないよね?大丈夫だよね!?!?

「あの、魔女ってそんなに危険なんですか?僕はアマミちゃんと生活していてそんな恐ろしいことをするようには思えないのですか…。」
「都市伝説と言ったところよ。ほら昔話とかによくあるじゃない?私達も魔女になんてあったことがないから本当のことは知らないわ。」
「まあ、魔術師の少女ならうちらのパーティにもいるがな。」
「私はそんなことしない。だから魔女じゃない。」

 さっきまで会話に入ってこなかった少女が突っ込んできた。ところで魔術師の少女と魔女って何が違うんだろう?今までの話を聞くと世界を色々ヤバイことにできる魔法が使える女性が魔女と言う定義になってしまう。アマミちゃんが魔女ならそうなる運命なのだろうか?それともあくまで魔術師の少女であり私達の知識がないから自称魔女といった形で通っているのだろうか?分からない。

「まあ、それはさておきだがな。お嬢ちゃん。俺らの仲間になるつもりはないかい?」
「え?」

 これは勧誘か?あー、成る程わざわざ昼食を奢ってくれた理由がわかった。

「はい!この野菜も美味しいです!お代わりします!」
「え、良いわよ…」

 しかも当本人は聞いていない件!

「ちょ…まあ、飯食いながらでも聞いてくれ。さっき盗み聞きしちまっていたが、近い将来Bランク有望なんだろう?しかも魔術師ときた。俺らは前衛が多くてもう少し後衛が欲しいところなんだ。まだ初心なんだから独りで活動するより俺らみたいな先輩に頼った方が良いぞ?」
「前衛ってなんですか!?」
「え…あー、前衛って言うのは…」

 流石アマミちゃん。相手のペースを尽く破壊していくスタイル。恐ろしい子。

 話を聞くと彼らは5人パーティで剣、ファイター、槍、弓、魔術師らしい。そんなに後衛不足している?弓は微妙なラインだが後衛でやっているものだと思うけど。

 個人的にどんなに話を聞いていても、後衛が欲しいのではなく強そうな魔術師が欲しいだけに聞こえる。実際、彼らの仲間の魔術師は若干不機嫌そうだ。まあ、お前は弱いと言われている様なものだからね。

「私ももっと魔法が使えこなせたらなあ。」
「うまく使いこなせないの?」

 あっちで勧誘合戦が始まっているがアマミちゃんが恐ろしいお花畑の頭で拡散している。状況が悪化したら考えるとして置いてけぼりの魔術師と話している。

「一応使えるから皆と一緒にいるしそれなりに役に立ってると思うんだけど、今まで頑張っても仲間をフォローしきれなくて。」
「そうなんだ。」

 と言われても僕は魔法が使える訳じゃないから分からない。ただ、仲間に置いていかれると言うことは若干寂しいのかもしれない。僕とアマミちゃんは暫く2人で行動していたから置いていかれるなんて事はない。だけどメンバーが増えてくるとどうしても誰かが空気になってしまうみたいなんだよね。

「冒険者ということはランクを持っているの?」
「私達は全員Dランクだからランクでは遅れていないんだけど、そろそろ皆昇格の目処が立ってるのに私はまだまだなんだよね。」
「うーん。僕はまだ成りたてで飛び級もなかったから普通にEだし、何もアドバイスできる事はないかな。」

 適当に話していると勧誘の煩さが増してきた。

「うわーん!分からないです!槍ってなんですか?弓ってなんですか!?ダンジョンってなんですか!?ミズハさーん!」
「おい、お前も説明するのを手伝え!話が先に進まないんだよ!」

 アマミちゃんは独特な性格なんだよね。大体放っておくと話がカオスになる。仕方ないので話に乗る。魔術師もチラチラこちらを見ているがあまり発言しようとは思っていないみたい。場合によってはチームから追い出されるとでも思っているのだろうか。若干顔色が悪い。

「お前からも何か説明してくれ。話が進まない。」

 僕に頼るの?僕だって冒険者初心者だよ?何を説明すれば良いの?!

「あー、うん。アマミちゃん。結論だけにしよう。アマミちゃんはこの後僕と一緒に旅を続ける?それともここに残る?」
「ミズハさんと一緒にいきます!独りぼっちはダメです!」
「だそうだよ。だから勧誘の話は無しで良いかな?」
「「「「え?」」」」

 魔術師以外全員がハモった件。逆に魔術師は若干顔色がよくなったように見える。

「ちょっと待ってくれ。どうしてそれだけでNO判定なんだ?」

 NO判定とは勧誘の結果断りましたといったことだろう。

「え、だって貴方達アマミちゃんだけに勧誘しましたよね?即ち僕は関係ないと言うことでしょ?それでアマミちゃんが今後も僕と一緒に行くと言っているんだから貴方達とは一緒に行きませんと言ってるのと同じじゃないかな?」
「ま、待ってくれ。なんだその屁理屈は。そもそも論、貴方を誘っていない訳じゃないぞ?」
「そうなのかな?少なくとも僕はそうは思わなかったけど。それに僕達は旅の途中で、費用稼ぎのために冒険者登録しただけだし貴殿方と共に行動するのには難しいんじゃないかな。ほら目的先が違うし。」
「ぐぬぬ…おい、なんか言ってやれ。」

 この男性しつこいな。しつこい男子は嫌われるよ?

「まあまあ、無理して嫌々入れても仲が悪くなるだけよ。でも、貴方達?少し冒険者やってみて困ったら先輩に頼った方が良いわよ。私達はよくこの村に来るから何かあったら声を掛けてくれると嬉しいな。」
「私は魔法の強さを教えて欲しい。」
「なんだかよくわかりませんが頑張ります!」

 だから何を頑張るの?!絶対話を理解していないよね?!

「魔法のコツは分からないですけど困ってる方は助けます!コツがわかったら教えに来ます!」
「ほ、本当?」

 なんだかよく分からないな。理解しているのか理解していないのか。まあ、あの魔術師の顔が明るくなったので良しとしよう。

「では、失礼します。またどこかでお会いした際はよろしくお願いします。それと昼食は御馳走様でした。」
「はい!また会いましょう!」

 と言うことで掲示板の方に向かっていく。途中、先程のパーティからこんな話が聞こえていた。

「おいおい、諦めるの早すぎだろ。折角強い魔術師を仲間に出来そうだったのにさ。」
「貴方のやり方は強すぎるのよ。使いの方がドン引きだったでしょ?それよりどちらもまだ初心者なんだから依頼を受けても結構苦労すると思うわ。成功失敗問わずまたギルドに顔を覗かせたときに声をかければ良いのよ。
 的確にアドバイスできれば彼らも私達を信用してくれて仲間になってくれるわ。」

 どうやら心理作戦に出るらしい。まあ、放っておこう。下手に喧嘩を吹っ掛けるとまた話がややこしくなる。
12:エナ◆y5SZb1A4LI :

2019/02/24 (Sun) 22:07:43

「アマミちゃん、好きな依頼あった?」
「ミズハさん!この依頼なんてどうですか!可愛そうです!助けたいです!」
「うん?どれどれ?」

 概略はこんな感じ。都会で連続殺人障害事件が起きている。犯人を捕まえて欲しい。以上。

「皆さん怪我しています!助けたいです!」

 いやいや待とうか?難易度がおかしくない?と言うより冒険者の仕事じゃなくない?!

「いやいや、ちょっと待とう。いくらなんでも無謀すぎるよ。僕達生活費を稼ぐためだけに冒険者やっているんだよ?流石にこれじゃ、稼ぐ以前の問題になっちゃうよ?」
「可哀想です!助けたいです!」

 まずい!またわがままだ。このままではガチで大変なことになる!

「うーん。アマミちゃん、今回は我慢して。もう少し余裕ができたらそのとき検討するから。うん、今回は流石にダメ。」
「ミズハさんが意地悪です!嫌いになっちゃいます!ムーです!」

 そんな可愛い顔して膨れないで。それとこんなことで嫌いにならないで。

 取り敢えず学んだことはアマミちゃんに下手に選ばせるとややこしくなることかな。余裕ができたら考えることにして今回は僕が選ぶことにしよう。

 探してみると気になるものがあった。

「えっと、アマミちゃん。これはどう?」
「嫌です!さっきのが良いです!」

 こりゃ相当不機嫌だ。大変だなあ。

 因みに僕が引っ張ってきたのはこんな依頼。郵便物を届けて欲しい。ここから森の奥に大体1時間程度らしい。森の奥に届けると言うのが腑に落ちないが、まあ、軽い森の探検と考えれば確かに冒険者っぽい。散々旅で歩いていたから歩くぐらいは慣れている。強いていれば森の奥と言うことは道が整備されていない可能性があるくらいかな?

 取り分け報酬にも目がいった。依頼量10000Gである。物価の目安が1人辺り1食500G位なので2人で1日3000G。3日は持つ!まあ、宿とかは考えないけど。これだけの料金を往復2時間で稼げるならやらない手はない。

「アマミちゃん、さっきの依頼もまた後でやるから…だからこれやろう?」
「ムーです!」

 駄目だこりゃ。ただアマミちゃんは色々単純なので扱い方さえ慣れれば実は意外に簡単だったりする。

「アマミちゃん。この依頼はね。手紙を届けると言うものなんだよ?もし僕達がこの依頼を受けなかったら受け取り主は何時まで経っても手紙が受け取れなくて困っちゃうよ?アマミちゃんも友達から何時まで経っても手紙が来なかったら悲しくならない?」
「嫌です!友達から手紙が来ないなんて狂気の沙汰です!死んだ方がましです!」

 いや、それはおかしくない?

「手紙さんを届けます!はい!やります!」

 手紙さんなんだ。手紙さんって生き物なのかな?まあ良いや。気が変わらないうちにとっとと手続きを済ませよう。

 まあ、こんな感じでアマミちゃんは困った方には目がないんだよね。だからそれを使ってあげればすぐ動いてくれる。ものすごく単純であり、物凄く優しい子であり、そして…簡単に騙される。だから常に見張っておかないと危なくなる。

「すいません。この依頼を受けたいのですが宜しいでしょうか?」

 受付に持っていく。確かこの手順で合っていたとは思うけど初めてなので色々緊張する。

「その依頼ですね。確かに、この依頼なら初心者にはもってこいでしょう。あの森は滅多に危ない生物は現れませんから依頼のランクもD程度です。取り分け、最近この依頼を受けてくれる方が少なくて本当に助かります。」

 え?

「どうしてですか?難易度も簡単そうですし、依頼額も仕事内容に比べると相当優遇されているような気がします。僕自身偶々偶然誰も依頼を受けなかったのかと思っていたのですが。」

 実質他の依頼も見ていたけどあからさまにこの依頼は好条件過ぎる。逆に誰も取らないのが不思議なぐらい。…待てよ?と言うことは逆に曰く付きとか言ったりしないよね?

「それですね。昔から定期的に来る依頼なのですが、もちろん当初は依頼額2000G位だったのですよ。しかし、あまりにも簡単すぎたらしくどの冒険者も飽きてしまいまして皆さん受注しないのです。」

 そっちかよ!心配して損したわ!

 まあ、冒険者は基本的にいろんな探検先に出掛けてスリルある冒険をしたいのだろう。敵もろくにいない簡単な森を往復2時間歩くなんて絶対につまらない。受けるなら僕達みたいにお金に困っている場合だけなのかもしれない。

「その為、依頼主も困っているらしく少しずつ金額が上がっている様なんですよね。流石に森の中となりますと一般的な配達者はそこまで向かいませんから。
 そのため、ギルド経由でここまで送付した後、冒険者に任せると言った形式を取っているようです。」
「よく分からないです!」

 安心して。僕もあまりよくわかっていないから。まあ、要は普通の手段じゃ手紙が届かないのでギルドに多額を出してでもなんとか送って貰っていると言ったところなのかな?ただ、もう一点気になる。

「その依頼主はいったい誰に手紙を出しているんですか?森の奥に誰かが住んでいるんですか?」
「それが全くわかっていないんですよ。依頼を受けた冒険者達に聞くと確かに指定された場所に手紙を入れるための簡易的なポストがあるらしいのですが、逆にそれしかないらしいんですよね。依頼を受けたと言う証明印もそのポストの中に入っているらしく受取人の顔を見たものはいないみたいですし。
 しかも、次に依頼が来たときにポストへ手紙を持っていくとちゃんと回収されているらしくポスト内は常に空みたいです。」
「依頼者については分からないのですか?」
「いえ、個人情報の流出はギルド内で極力避けていますので依頼主の情報はここまでやって来ておりません。ただ、目的地に手紙を届ければ依頼完了と伺っています。」

 なんだか謎だらけだな。しかも定期的に配達依頼が来ているのに誰もその真相が分かっていないみたいな感じ。

 僕はこう言う系の話を聞くと一種楽しさを感じる。所謂謎解き系だ。最も、今回のなぞは結構長年の未解決問題みたいなので突破できるかは分からないが。まあ、調べてみる価値はあるだろう。

「ミズハさん!早くいきましょう!手紙さんが可哀想です!」

 手紙がかわいそうってなんか話が変わっていない?!僕は受取人が困るんじゃない?って話をしたよ?

 と言うより勝手に走っていかないで!どっち向かって走ってるの!?そっちは出口じゃなくてただの壁だよ?!

「痛いです!壁さんに頭をぶつけました!」

 壁に対満を張りに行く何て見たことないよ!?精々ブレーキかけよう?仮に正しい方向に走っていっても扉をぶち破るつもりなのかな?!

「壁さん大丈夫ですか?私は回復したので元気です!」

 うん。突っ込み疲れた。放棄する。すると声をかけられた。
13:エナ◆y5SZb1A4LI :

2019/03/03 (Sun) 12:31:46

「依頼は決まったのか?」

 さっきの旦那さんである。

「あ、はい。お陰様で。この依頼を受けることにしました。」
「うん?どれどれ?おお、良心的じゃないか。これなら心配要らなそうだな。」

 問題ないらしい。気になる点は腐るほどあるけど。

「よく冒険者成り立ては自身のランクなんて無視して無謀なチャレンジをするやつもいるからな。思い知って帰って来れれば未だ良いがそういう奴らは大抵帰ってこない場合が殆どだからな。」
「僕達はただお金稼ぎがしたいだけですので。別に無茶なことをしたいわけではありません。」

 アマミちゃんは人助けのためなら手段を選ばないので困ってるんだけどね。

「あ、そう言えば、この依頼についてなにかご存知の事ありませんか?」
「うん?何か不安なことでもあったか?」
「い、いえ。依頼内容に対して報酬が良いなと思いましたので。受付の方にも聞いたのですが、なんだか受取人がよく分からないとかどうとか。」
「ああ、確かにな。だからそれも魔法使いが絡んでるんじゃないかと噂にしているやつもいるな。」
「これも先程の話に繋がっているのですか?」
「一応な。実際に受けとるやつがいるから誰かがいるとは思われている。ただそれが魔法使いと関連があるのかないのか。はたまた魔法使いではないとか様々でな。噂の一人歩き状態だ。」

 色々ややこしくなっているな。まあ、おそらくその魔法使いは誰にも迷惑をかけていないのだろう。害があれば絶対にちゃんと調査されるに決まっている。何もないから誰も調べる気もないのだろう。

 それとも違う原因か?魔法使い云々はさておいて、正体がばれた場合には全員始末しているとか。逆に絶対にバレないように何かしているとか。うーん、考えるとキリがない。実際にいけばなにかわかるかもしれない。まあ、それでわかったらこんな多種多様な噂なんかないと思うけどね。

「アマミちゃん。行こう?って何しているの?」
「はい!壁さんが欠けてしまったようなので謝っているんです!」

 欠けた?!そんなに強くぶつかったの?!

「え、アマミちゃんは大丈夫?怪我していない?」
「この通りピンピンです!壁さんが痛がっているんです!」
「えっと、壁の声が聞こえたりするの?」
「分かんないです!ただ聞こえたことにしているんです!欠けてしまったって泣いているようにしているんです!」

 駄目だ。この子の頭についていけない。諦めよう。

「壁さんは許してくれるって。だから次行こう?ほら手紙が遅くなると受取人も困っちゃうよ?」
「は!?忘れていました!手紙さんが可哀想です!でもその前にまだ壁さんに謝罪をし終わっていないんです!」
「えっと、どれぐらいかかるの?」
「後30分です!」

 待ってられるか!!!

「アマミちゃん。僕の背中のそばに来て?」
「こうですか?」
「うん。それじゃあよいこらせっと。」

 面倒臭くなったので背負って連れていくことにする。

「あわわ!ミズハさん!まだ壁さんに謝っていないです!」
「うん。後にしよう。じゃあ出発するよ。手紙を届けなきゃ。アマミちゃん、手紙が届かなかったらアマミちゃん嫌だよね?」
「手紙さんが可哀想です!ミズハさん、行きましょう!壁さん、ごめんなさい。また後で来ます!」

 今もう謝ったよね?もう行く必要ないよね?!と言うより壁に30分間も何を謝罪するの!?!?

「お、出発するのか。アマミ大丈夫か?なんだかキョロキョロしているが…?」
「凄いです!ミズハさんよりも背が高いです!もっと上から色々見てみたいです!」
「すいません。現状この子色々興奮しているみたいなので無視して頂けないでしょうか。」
「お、おう…まあ、気を付けてな。私はもう家に帰るからもうここには来ないが、今後冒険者としてなにか困ったらいつでも来てよいからな。」
「ありがとうございます。私達はここで稼げた後また旅を続ける予定です。ただ、またこの村に来る機会があればお伺いしますのでそのときはよろしくお願いします。」
「気を付けてな。」
「行ってきますー!ミズハさん、ゴーです!」

 私は馬か!まあ良いや。出発しよう。

 実質、この村から出てしまったらもう二度と戻ってくることはないと思う。万一来ても余程の事がない限りあの夫婦の家にも依らないだろう。別に不満があるとかそういうわけではなく、僕の記憶力が悪いからだけである。

 あ、でもお礼の謝礼金ぐらいは渡したい。少なくとも2泊もさせてもらって何も渡さないのは失礼に当たる。と言うより変に借りを作ると後々揉める原因に成りそうなのでとっとと返したい。今はお金がないけど。

 とか思いながら、森を進んでいくが…背中がやけに重い。そうだった。

「アマミちゃん。そろそろ降りてくれないかな。平坦だったらアマミちゃんは軽いからある程度なんとかなるけど森のなかでを背負い続けるのはきつい。」
「あ、はい!もとの身長に戻ります!」

 言っていることはよく分からないが、問題なく背中から降りてくれたので良しとする。

「結構暗いです。」
「そうだね。意外に森の中って暗いのかな。」

 旅の途中はもちろんある程度舗装された道を通っているのでそれほど苦労はしなかったが流石に森の中だと色々辛い。最も定期便と言うこともあり、今通っている道は足場が全くないと言うわけではなくある程度歩ける環境にはなっている。とは言え、森の中を突っ切っているため木々の枝を退けたり転がった大木を乗り越える必要性はある。渡された地図的にこのルートなんだけど本当にこのルートであってるよね?

「あ、ミズハさん!見てください!」

 なにか見つけたのかな?

「この葉っぱは食べれるんです!持っていきます!…あ、あそこに草が映えています!あれも食べれるんです!あ…!」

 アマミちゃん忙しそうだな。普段の一般道は逆に整備され過ぎていて植物もあまり生えていないからね。森の中だと色々あるのかもしれない。

 アマミちゃんはよくわからないけど、植物系にやけに詳しい。彼女が旅の途中色々採取してくれたお陰で餓死も免れたのかもしれない。ところで…

「アマミちゃん。そんなに取ってどうするの?流石に量が多すぎるよ。運ぶのは大変じゃないかなあ。」
「見てください!キノコも取れました!美味しいんですよ!」

 キノコも詳しいのか。キノコは植物じゃないんだよね。アマミちゃんの知識は植物だけじゃないのかな?

「美味しい毒キノコです!」

 はい!?意味がわからないよ!!
14:エナ◆y5SZb1A4LI :

2019/03/10 (Sun) 19:21:02

「美味しい毒キノコってなに?食べて急にお腹を壊すとか?」

 しまった。つい本音が声で出てしまった。

「このキノコは凄いんです。普通のキノコの5倍甘いんです。そして毒の速効性が100倍なので食べて5秒後には夢の世界へ行けるのです!」

 危険すぎるだろ!今すぐ捨ててきて!!夢の世界とか言ってるけどそれ絶対死んでるからね?もう戻ってこれないからね!終わっちゃってるからね!

「アマミちゃん。ちょっと持ち歩くのは良くないかな。誤って食べちゃうと危険でしょ?捨てた方がいいんじゃないかな?」
「嫌です!滅多にとれないんです!ここに5本も生えていたんです!」

 ここら辺危ないもの生えすぎだろ!

「それにちゃんと毒抜きすれば本当に美味しく食べれるんです!ついでに抜いた毒を霧吹きみたいに使えば虫除けにもなるんです!あ、だけど直接虫にかけると虫さんが夢の世界にいってしまうのでやっちゃダメです!」

 普通に殺虫剤代わりになるならそれで使おう?流石に虫の命なんて考えていたら常に足元確認になっちゃうよ?

 と言うよりその毒キノコ毒抜きすれば食べれるのか。でもどうやって毒抜きするの?!知識はないけど毒性強すぎるから絶対簡単じゃないよね!

「えっと、毒抜きってどうやってするの?」
「はい!まずは鍋で煮込みます!そして…」

 鍋がないね。詰んだね。終了。

「…と言うことで持っていきます!」

 もう好きにしてください。ただ絶対口に入れないようにしよう。いや、僕よりアマミちゃんの方が心配かな?

「アマミちゃん。持っていくにしても、そのキノコだけじゃなくって他にも沢山採ってきてるよ?持ちきれる?まあ、僕も食べれるものは手伝うけど。」

 食べれないものは要らない。あ、だけどキノコは僕が持っていた方がよいか?誤食はアマミちゃんの特権だし。

「大丈夫です!対策は立ててあるんです!」

 すごいな。まさか、森に入る前からちゃんと考えて…いるわけないよね?

「見てください!この帽子を取って裏返せば持ち運びできる容器の完成です!頭良いです!天才です!」

 帽子の中汚れるよ?大丈夫?まあ、確かに魔女帽は必要以上に縦が長いので入ると言えば入るかもしれないけど。

「さっき考えたんです!閃き力バッチリです!」

 さっき考えたのか!考えてきた訳じゃないのか!…そう言えばそう思ったのは私か。思い込みはよくないね。と言うよりちゃんと考えているやつが帽子に採取物を突っ込むなんて事はしないよね。

「ミズハさんの帽子も使いたいです!」
「うん。パスする。」
「どうしてですか!?私の帽子に期待を寄せすぎです!私の帽子も限界があります!」

 知らないよ!そもそもそんなに採取するなんて聞いてないよ。第一僕は髪の毛を隠すために帽子を被ってるんだよ。こんなことで帽子脱いだら男装の意味がないじゃん!

「アマミちゃん。僕は手で持つから平気だよ。それに僕の帽子はそんなに入らないから使わないで。」
「ムー!ミズハさんが意地悪です!このキノコ美味しいです!1個どうですか!」

 うん、ありがとう…って食うか!毒キノコだろそれ!殺す気か!帽子を貸してくれない先輩は毒殺するのが帝石なのか。初めて知ったわ!駄目だ。すでに収拾がつかなくなっている!

「と、取り敢えず…持てる分は持つからそれで勘弁して。アマミちゃんもあまり帽子に詰め込みすぎないでね。帽子が汚れちゃうし形が崩れちゃうよ?」
「うわー!帽子さんが苦しそうです!ギューギュー詰め込みすぎました!」
「よし取り敢えず進もう。」

 面倒臭くなったのでアマミちゃんの腕を引っ張って強引につれていくことにした。こんなことやってると片道1時間じゃ済まなくなる。午後に出てるのであまり遅すぎると暗くなる。森の中での暗闇は芳しいとは言えないはず。だからとっとと終わらせてとっとと帰りたい。

「うん?」
「ミズハさん。どうかしましたか?」

 アマミちゃんが帽子を抱えたまま言ってくる。帽子に植物やらキノコやら入ってるので抱えて持ち歩いている。私は両手で取った植物を抱えている。

 今立ち止まったのは回りを警戒しているためだ。僕の能力は相手の力を奪うと言うもの。逆に言えば、相手の力が何処に有るかが全部わかる。要は探索できるのである。

 そして、その力の強さから相手の力量まで大体測定可能である。例えば、そこに生えている草木さえも生きている以上力があるため僅かではあるが感知は出来る。ただ、その程度の力で一々止まったりはしない。止まると言うことは、ある程度大きな力を感知したからである。

 そして、かなり大きな力がこっちに向かって急接近しているのである。力の種類的に人間ではない。他のなにか…人間より強い生き物だ。

「アマミちゃん。警戒して。なにかが近づいてくる。」
「何ですか?もしかしてお化けですか!?」
「そんなあまちょろいものじゃない。」
「お化けさんは怖いですよー!」

 まあ、お化けが急に出てきたらそれはそれでビックリするがそんなんじゃない。もっと危険な…来たか!

「アマミちゃん!こっち!」
「うわ!急に引っ張らないでください!帽子落とします!!」

 ゴメン。ちゃんと持っていて!だけど、帽子より命の方が大事だよ?荷物を片手で抱えてアマミちゃんを引っ張ることにする。

 僕達が道をそれて木陰に隠れると同時にすぐ奥でなにか音がした。間違えない。人間より強いなにかが直ぐ側にいる。

「なにかいらっしゃるのでしょうか?」

 アマミちゃんも冷静に成りつつある。彼女も流石に危険な状況だと分かると一気に戦力になる。最も、戦えるかどうかは別だが。

「アマミちゃん。ちょっと相手の確認したい。何かがいるけど、ここを立ち去ろうとしていない。僕達も流石に正規ルート以外で目的地に向かうのは無謀すぎる。相手の様子を見ながらゆっくりこの場を離れようと思う。」
「分かりました!」

 ちょっと声が大きいかな?

 作戦として、相手が何者かを判断した上で気配を消しながら小道に戻りそのままばれずに進んでしまおうと言うもの。一応僕はEランクだしアマミちゃんもDランクなので戦わない方が健全だと考えている。

 と言うことで相手の様子を見に行ったが、ヤバイものを見てしまった。

 おそらくあれは熊だ。ただ、頭に角が生えている。大体角の長さは20cm位で地味に太そうである。現状、熊は僕らに背を向けている。小道に戻ってとっとと抜けてしまおう。あまりこう言う緊張感あるものは好きじゃない。
15:エナ◆y5SZb1A4LI :

2019/03/17 (Sun) 20:14:55

「アマミちゃん、返事はしなくて良いから僕について来て。」

 シーという合図と共に僕は小道に戻る。アマミちゃんもそれについてくる。そして、相手の様子を見ながら小道を進み始めると…

「グルルル…」

 音を聞き付けたのか臭いを感じたのかは知らないがこっちを振り向いてしまった!

「熊さんです!こんにちはです!こっちに来ないでください!お願いします!」

 どうして余計な発言を大声でするの!?

「グルル…」

 確実的にこっちに近づいてきている。ゆっくり近づいて来ているのでまだ様子見か?ただあの熊がここに来て立ち去らなかった理由は、おそらくあれも僕らの気配に気づいていた可能性がある。おそらく探していたのだろう。

 熊が手紙の依頼主なはずがない。と言うことは違う理由で僕らを探していたことになる。まあ、想像しなくてもある程度予想はつくが、縄張りから追い出そうとしているか…いやおそらくあの動きは狩りの動き、僕らを食べるつもりだ。

「熊さん!こっちに来ないでください!私は美味しくないです!ミズハさんは私より美味しいと思います!そっちにいってください!」

 アマミちゃんも食べられると思っているみたいだけど、その発言はひどくない!?僕を生け贄にして逃げるつもり?!酷すぎるよ!あと、一緒にいるんだから僕の方に来てもアマミちゃんの方にいっても結局はこっちに来るよ?!

 というか、ボケ噛ましてる余裕がない!向こうは着実に接近してきている。あの大きさだし下手すれば確実的に食われる!

 向こうがこっちに向かって走り出してきた!とっさに荷物を捨て戦闘形態に入る。あの程度なら半径1キロで十分。範囲を展開し殺さない程度に1キロ内の生き物から力を奪っていく。時間はカンマ1秒。取り分け右手に力を集中させる。

「熊さんが来ました!!!!」

 アマミちゃんが叫んで逃げていく。そしてずっこけた!

「痛いです!」

 厳密にはずっこけたかどうかは分からない。何しろアマミちゃんは僕の後ろにいる。ドスンと言う音が聞こえたからそう思っているが僕は急接近する熊を見続けているのでよく分からない。残念ながら今アマミちゃんに構っている余裕はない。

「ガルルル…グオオン!」

 僕の方が熊に近いので熊は僕を襲ってきた。まあ、アマミちゃんが僕を生け贄にしようとしたり逃げようとしたりしていたけど、実質こっちに来てもらった方がありがたい。援護しながら戦うのは難しいからね。

「僕を襲うなんて100年早い。」

 熊が飛びかかってくる瞬間、1歩右足を引く。そして飛びかかってきた瞬間、右足を前に出しながら力を右手に集中し熊の顔面をぶん殴った!

「ギャオオン!!」

 鈍いバキッと言う音がしたかと思ったらそのまま熊が吹き飛んだ。そしてそのまま10メートル位飛んでいき、生えていた大木に衝突。大木は吹き飛んできた熊の衝撃に耐えきれずへし折れた。熊はそのまま折れた大木の下で伸びている。

「ギャーーー!」

 惨状にアマミちゃんが叫んでる。

「熊さーん!!大丈夫ですか!!?」

 アマミちゃんが帽子を投げ棄てて熊の方に駆け寄ろうとする。ちょっと待って、危ないよ!!?すかさず左手でアマミちゃんの右手を掴む。アマミちゃんはどうやら僕の左側で倒れていたらしい。

「アマミちゃん!何しようとしているの?!相手は熊だよ!僕達を食べようと襲ってきたんだよ!側にいっちゃ危険だよ!」
「熊さんが死んでしまいます!例え私達を襲ったからって殺して良いわけではないです!ミズハさんは本気を出しすぎです!!」

 それいったら全然本気だしていないよ!こんなことで本気なんて出さないよ!と言うより僕らを襲っていてそれでいて自己防衛禁止じゃ何も出来ないじゃん!おとなしく殺されるだけじゃん!流石にそれは違うと思うよ!

 ただ、アマミちゃんは優しさが故に動物に手出しを出すことを嫌っているんだよね。だからっていって普通に魚や肉は食べるからよく分からない。肉類が元々は動物って教えてもいいんだけど、と言うより知ってるとは思うんだけど、余計なこと言って魚や肉を食べなくなっちゃうと余計面倒くさくなるので言わない。教育は何がなんでも教えれば良いわけではないんだよね。

 取り敢えず、止めないと大変なことになるので右手を降りながらアマミちゃんを止めようと必死で抵抗する。するとさっきまで騒いでいたのに急に顔色を変えて僕を見ている。と言うより僕の右手を見ている。

「み、ミズハさん!!大丈夫ですか?!」
「え、僕は大丈夫だけど。」
「右手が血だらけです!治療します!!」

 え、血だらけ?右手を見てみる。

 たいした傷じゃない。少なくとも原型が崩れたり無くなったりはしていない。ただ、手の甲側の指から血が垂れている。また、白い太めの歯が1本刺さったままになっている。おそらく熊の歯かな?

 それほど痛みを感じていなかったので分からなかった件。ほら、右手に力を込めすぎていたし。一般人がお腹を殴られればそれは痛いかもしれないけど、ボクサー見たいに鍛えられた腹を攻撃してもそう簡単にダメージが刺さらないのと同じである、と思う。保証はしないよ?

「あ、そこまで致命傷じゃないから大丈夫だよ?」
「大問題レベルです!!右手貸してください!直ぐ治します!!」
「え、別に…」

 とか言っているうちに、アマミちゃんは私の右手を強引に引っ張り治療を始めてしまった。もちろん魔法でである。ものの2秒足らずで治ってしまった。この子の力も相当凄いと思う件。

「治りました!これで大丈夫です!」
「あ、うん。ありがとう。」

 その時、自分の手からなにかが落ちた。見てみると先程刺さっていた牙である。恐らく熊をぶん殴った際、口元ら辺を攻撃してしまい牙がへし折れたのだろう。そういう意味だと、確認してはいないがあの熊の歯はズタズタになっていると考えられる。まあ相手はどうでもいいとして折れた歯は記念品としてもらっておこうっと。

「一安心です。あ、帽子を転がしていました!回収です!ミズハさん、行きましょう。」
「あ、そ、そうだね。僕も持ち物を拾わないと。
 ところでアマミちゃん?熊は無視して行っちゃって良いの?さっき気にしていたようだけど?」
「いけません!忘れていました!ミズハさんナイスフォローです!」
「あ、ちょっと?!」

 また熊に向かって走り始めたので今度は右手で肩を掴んで止める事にする。誰だ余計なことを言ったのは…って自分か!ふざけるな!

「ストップストップ!熊を起こしたらまた襲われるから!さっきみたいにノックアウトして終了とは限らないよ!?」
「ミズハさんが何とかしてくれます!」

 いやいや、だったら結局意味ないじゃん!そのうち熊死んじゃうよ?!逆効果だよ!
16:エナ◆y5SZb1A4LI :

2019/03/31 (Sun) 21:47:03

「アマミちゃん?取り敢えず今はやめよう?僕らが危険になるだけだよ?せめて見つからないくらい離れてからなら良いけど、流石に無理だよね?」
「うーん…熊さんが見えていればどんなに遠くからでも治療できます、はい!」
「ええ…」

 遠くからでも治療が出来るんだ。すごいよ。てっきり触れていないと駄目だと思ったよ。なんかもうアマミちゃんが色々凄すぎて突っ込み疲れてきたよ…。

 こうなってしまったら出来るだけ離れてそれで回復してもらおう。実際危害を加えた熊なんてとっとと殺して食料にしたいのが本音なんだけど…え?それは残酷すぎる?

「取り敢えず、遠くに離れよう。見える範囲ならば治療できるの?」
「はい!やったことがないのでわかりません!」

 分からないのかよ!

「でも出来るはずです、多分!」

 もう面倒くさいのでとっとと離れてやって貰うことにする。回復しようがしまいが僕には関係ない。あ、だけどアマミちゃんが騒いじゃうと影響範囲は大きいなあ…。

「うん。これぐらい離れれば大丈夫かな。いい、回復できたら直ぐに出発するよ?熊が起きる前に出来るだけ離れたいんだから。」
「はい!分かりました!じゃあやります!」

 アマミちゃんが熊の方に向けて手を伸ばす。すると、若干アマミちゃんの手が明るくなり熊も明るくなった。100m以上は離れていると思うんだけど、それでも届く範囲なのか…。

「治療さんはお仕舞いです!行きましょう!」

 治療さん?治療も生き物なのかな。いやいや、突っ込みは放棄する、もうやってられない。

 治療が終わったようなので次へ進む。アマミちゃんも満足したのかどんどん進んでいく。いや、進むのは良いけど勝手にどっか行かないで!

「アマミちゃん!そっちいったら小道外れちゃうよ!?」
「そうなんですか!?私の勘はこっちが正しいと言い張っています!」

 今すぐその勘を捨てるか交換しろ!前見て、どう見ても崖じゃん!

 そんなこんなで採取物取ったり熊に襲われたり忙しかった長い旅も終了。正味1時間だけどね。

「ミズハさん!見てください!ポストがあります!」
「あ、うん。ようやくここまで来たよ…何故だろう。1時間歩いただけなのに1日分の体力を使ってしまった感じがする。」
「きっと楽しかったからです!はい!」

 過半数は君が原因だよ!

「えーっと、確かこのポストの入り口を開けると…うん。確かにスタンプが置いてある。これを証明書に貼ればいいんだよね。
 アマミちゃん?手紙は持ってる?」
「はい!ポケットに…ありません!」
「うん知ってる。さっき走り回ってたときに落としたの見たから。」
「どうして返してくれないんですか!酷いです!ミズハさん嫌いです!ムーです!」

 元々僕が持ってたのに急に持ちたいって言って渡して直ぐ落とすんだもん。変なフラグを立てて早急後戻りだけは避けたかったのでしょうがない。

「じゃあほら、今返すからアマミちゃんが入れて?」
「やったです!これで依頼達成です!ミズハさん最強です!」

 うん、精々手紙をポストのなかに入れてから言おうか?まるでアマミちゃんが依頼主になっちゃってるよ?

 証明印は僕が貼っておく。勿論僕が持って帰る。無くしたは、貧乏にとって命取りだからね。まあ、無事依頼達成しました。

「ミズハさん!?この後はどうするんですか?帰りますか?私はもう少し採取したいです!」

 すでに帽子のなかが満杯になっている少女がなにか言っている。因みに僕の手も塞がっているのでこれ以上は持ち歩けません。残念。

「うーん。採取はやめようか。これ以上持てないよ。」
「酷いです!ミズハさん手を増やしてください!」

 やめてください。怖いです。

「でも、もう少し森にいようかな。」
「やったです!もっと採取できます!」
「採取じゃなくて、気になる力を感じるんだよね。大体ここから1~2キロ離れたところかな。」
「気になる力ってなんですか?何かあるんですか?」

 アマミちゃんも興味をもったようである。

「うん。1時間近く歩いているから大分深くまで来ていると思うんだけど、ここよりもっと奥に…人なのかな。誰かが1人いるんだよね。方向的にさっきの村とは逆方向だし、本当に1人だけだから村とか町じゃないとは思うんだけど。」
「そう言えば、先程の男性さんが森に誰かいるって言っていました!」
「そうそう。アマミちゃんちゃんと覚えといてくれたんだね。偉い。」
「そうです!私は頭がいいんです!…ミズハさん馬鹿にしていませんか!!?ムーです!」

 あ、それはわかるんだ。やっぱりこの子はよく分からない。ところで今日は何回アマミちゃん膨れたかな。膨れたとき1度くらいほっぺをプシューってしてみたい。

「アマミちゃん?調べてみる?僕ならターゲットが何処にいようが確実的に場所がわかる。見失うこともないし…どう?」
「はい!噂の魔法使いさん調べます!」

 と言うことでまだ明るいうちに噂の魔法使いを調べることにしました。まあ、魔法使いかどうかも定まっていないようだけど…。

 流石にもう採取は出来ないのでスタスタと進んでいく。とは言っても道の設備が出来ていない道を進んでいるので遅い。すでに依頼のポストより奥に進んでいるので誰も通らないからである。

 また、アマミちゃんはまだ採取を続けたいらしく定期的に

「あれも回収します!」

 と言って何処かへ行こうとするからよりいっそう遅くなっている。取り分け魔女帽には既に満杯なため入れようとする度に

「ミズハさーん!入らないです!どうしてですか?!仕方がないので諦めます!」

 とか言って、自己解決しているため遅い。既に5回は繰り返している模様。いい加減学ぼう?

「アマミちゃん?若干お腹が空いたんだけど適当に食べていい?」
「はい!ムシャムシャどうぞです!入りきらないんです!」

 そんな食べないよ?所詮は全部雑草だし。味は雑草である。他に何も言えない。まあ、もう食べなれているから違和感はない。

 因みに普段なら有り得ないがキノコも採取されている。普段の道端とは違って森の奥に入ってるからね。ピンクに黒の斑点がついた毒キノコ認定された物以外にもアマミちゃんが採取している。アマミちゃん曰く他は全部食べれるらしい。とは言え、生でキノコを食べるのも嫌だし本当に安全か分からないので今は食べない。

 歩いている時ってたまに口が寂しいときがあるよね。そう言うときは何かしら噛んでおくと意外にスッキリする。あれ、僕だけ?
17:エナ◆y5SZb1A4LI :

2019/04/06 (Sat) 18:30:58

 とかなんとか言っているうちに1時間ぐらいたった。いよいよ怪しいところに出た。さっきまで完全に木々に覆われていたのに、この空間だけ木々が1本も立っていない。

「アマミちゃん。ストップ。ここだよ。人か分からないけど何かしらの気配がする。」
「そうなんですか?!全く分からないです!」

 まあ、僕特有の能力だからしょうがない。

「でも、ここら辺だけ木々さんがないです!ここだけちっちゃな草原さんみたいです!」

 大体言いたいことはわかる。微妙な空間に草原だけ。取り分け何か反応がある。怪しい。

「アマミちゃんは何かわかる?」
「はい!何もないことが分かりました!」

 それはわかっているとは言わない!疲れたので植物を摘まむ。うーん、やっぱり雑草は雑草と言う味である。

 取り敢えず、その開けた空間に足を踏み入れようとすると…うん?おかしい。

「アマミちゃん?アマミちゃんはこの草原に入れる?よく分からないんだけど、入ろうとすると見えない壁か何かにぶつかって入れないんだけど。」
「そうなんですか!あ、本当です!見えない壁さんがあります!壁さん、大丈夫ですか?!見えなかったのでぶつかってしまいました!」

 一々謝らなくてよろしい。まさかここでも30分謝罪するなんて言わないよね?!

 うーん。壊してみようか?でも、見えない壁をどうやって?

「アマミちゃん?見えない壁の知識ある?さっきからちらほら言っている気配はこの草原の中からするんだけど…壁を退けるか何かをしないと入れないよ。」
「はい!壁さんには申し訳ありませんが壊せば入れると思います!私は壁さんに既に負けたので諦めます!」

 えええ!さっきまで謝ってたのに壊すの推奨し始めたよ!それに負けたって何?なんの勝負してたの?!もうついていけないよ!

 でもまあ許可が降りたんだし壊して良いものとする。透明の壁が珍しいからと言って残したままでは中に入れない。とは言え、どう壊すか。

「アマミちゃん、壊すための案とかある?」
「何かをぶつければ壊れると思います。あ、私をぶつけちゃダメです!痛かったです!」

 少なくとも僕はぶつけていないよ!?自爆だよそれ!?僕はなにもしていないからね?

 何かをぶつけるか…まあ、確かに単純なのでそうしてみる。先ずは、適当な木を1本選ぶ。次に、その木を透明の壁がある方向に向けて殴ってみる。一撃で木がへし折れ、倒れた木が壁に激突した。そのまま木は転がり地面に倒れこむ。

「どうかな?何か変化したかな?」
「ミズハさん!どうして木さんを苛めるんですか!へし折っちゃダメです!環境破壊です!」
「え…だって、何かをぶつけるって言うから木をぶつけてみたんだけど。」
「駄目ですよ!!壁さんも木さんも痛かったって叫んでいます!叫んでることにするんです!」

 えええ…なんだかもう滅茶苦茶だな。少なくとも僕には非がないと願いたい。

 とは言え、残念ながら見えない壁には変化がなかったように見える。少なくとも透明の壁に阻まれてその中に入れないのは変わらない。

「アマミちゃん?他に方法はない?木で殴っても効果無さそうだよ?」
「木さんは大丈夫でしょうか?倒れたまま動かないです。」

 それは動かないだろう。元々だって生えていて動いた訳じゃないし。急に立ち上がったら逆に怖いわ!

「ミズハさん?壁さんに攻撃はしないんですか?私はか弱いので無理ですけどミズハさんなら出来そうです!」

 誰がか弱いだって?頭から血が出ても瞬時に治すくせに?!その言い方じゃまるで僕は筋肉ムキムキの女子になっちゃうじゃないか!

 まあ、殴るのもありかな。でもなんだか気に入らないんだよね。僕って確かに見掛けは男子だけど実際はそれこそか弱い女の子である。うん?か弱い女の子は一撃で熊を倒したりしない?知らない聞こえない。

 取り敢えず殴るのは嫌なのである。そう言えば、冒険者で職種を聞く欄があった気がする。殴らない職種といった形で絞り混めばかなり候補は絞られるのではなかろうか?

 どちらにしても、今回は武器がないので殴ることにする。手探りで透明の壁の位置をあぶり出し、右手に熊退治と同じように力をためる。熊退治に利用した力はまだ返却しきれていないのでそのまま再利用する。回収するのは早いんだけど返すのには時間がかかるんだよね。まあ、そんなこんなで殴ってみる。

「ギャー!凄い音がなりました!ビックリ過ぎて全身が粉砕しそうです!」

 その例えの意味が良くわからん!精々心臓を止めよう?あ、いや本当に止められたらたまったものじゃないから止めて!
18:エナ◆y5SZb1A4LI :

2019/04/14 (Sun) 14:41:28

 透明の壁を見ると完全に変化が起きていた。空間中に亀裂が入っているのである。と言うより、1発ぶん殴ったら亀裂が入りながら砕け散っていった。砕けた欠片は破片と下に落ち…ず、消えていく。更に、今まで何もなかったところに2階建ての一軒家が出現していた。

「す、凄いです!ミズハさんは壁より強いです!ビックリです!」

 うーん、出来れば急に現れた家の方に驚いて欲しかったかなー。とはいえ、僕の怪力も凄いな。誰にも見せないように早く封印しよう。それよりも誰も家について発言しない辺り価値観が狂っているんじゃなかろうか。

「ミズハさん!目の前に家が登場しました!これは幻覚でしょうか?あ、きっと生えてきたんです!家も成長するんですね。凄いです!」

 間違いなく透明の壁が守っていたものはこれだろう。じゃなきゃ急に出現は有り得ないし。あ、勿論アマミちゃんのボケは無視するよ。

「入って大丈夫でしょうか?熊さんが住んでいたり狼さんが住んでいると怖いです。」
「うーん。さっきから探っている限りでは比較的人間に近い生命体だと思うんだよね。と言うよりアマミちゃんに近いかもしれない。
 あ、だけど、アマミちゃんとも違うんだよね。何なんだろう。取り敢えず入ってみようか?鍵は掛かっていなさそうだし。」
「はい!森の中のお家です!誰も住んでいないのでしたらここに住んでみたいです!秘密基地です!」

 赤ずきんと言う本があるぐらいなので本当に狼がいたら厄介だがまあその時はその時である。住む云々は検討だが、僕の目的はこの世界の様々な生き物を調べることだし…最近移動ばかりで調査系は行っていなかったので少しの間ここに滞在するのも有りかもしれない。家賃タダだし。とは言え、誰もいなければ…だが。と言うことで入ってみる。

「ごめんくださいです!誰かいませんか!?」
「誰だ?」

 奥から声が聞こえた。男性っぽい。言葉がしゃべれるので人間か?

「誰もいないので入ります!ミズハさん、探検です!」
「おい、返事しているんだが?」
「アマミちゃん?聞こえないふりは良くないよ?精々返事ぐらいしてあげよう?」
「何も聞こえないことにするんです!そうすれば誰もいないことになるのでここが私の秘密基地になるんです!」
「おい!勝手に秘密基地に…って子供か?」

 奥から男性が出てきた。見かけ的には22~23歳辺りか?地味にエプロンをしているのが異常に気になる。違和感しかない。まあ、恐らく料理中だったのだろう。男性がエプロンと言うことに違和感しかない。男女差別?そんな言葉は知らない。

「と言うよりどうやって入ってきた?あの結界は昔偶々偶然出会った魔女のものだ。そう易々と…」
「魔女さんですか!何処にいるんですか!?同じ魔女として会ってみたいです!」
「すいません。ここに何かがいると思いまして、どうしても気になったので素手で透明な壁を殴って押し入りました。」
「な、ま、魔女?素手…え…」

 なんだか急に男性が顔をしかめたり頭を抱えたり目を瞑って腕組んで独り言言い始めたりおかしくなり始めた。何故だかは全く分からない。少なくとも僕のせいではない。

「ま、まあ…見たところ少年と少女か…立ち話もあれだ。リビングに案内する。ちょっと今夕食の準備中でな。あまり離れると良くないし、そこで待っていてくれ。」
「分かりました。押し掛けてしまい申し訳ありません。」
「う…うむ…」

 男性は顔をしかめながらリビングまで案内してくれた。とは言っても質素なもので、四角いテーブル1つに4つの席があるだけである。

 男性が恐らくキッチンに戻っていった後、私は荷物の整理を始める。いや、本来ならば何も持っていないはずなのだが、アマミちゃんに採取物を散々持たされたのでいい加減テーブルの上に置きたい。アマミちゃんはそれを見て、帽子を引っくり返してしまった。

「凄いです!こんなに沢山の作物を採ったのは初めてです!」
「えーっと、木の葉っぱとか草とかキノコとか一杯あるね。良くこんなに持ってこれたよ。
 ところで、帽子は大丈夫?荷物を詰め込みすぎて変な形になったりしていない?」
「うーんっと。あー、帽子がしわくちゃです!帽子の中が汚れています!これじゃ被りたくないです!」

 うん。多分そうなると思った。だから僕の帽子は使わせなかったし。
19:エナ◆y5SZb1A4LI :

2019/04/21 (Sun) 23:49:41

「帽子さん!大丈夫ですか!今治療します!」

 おい。帽子は生き物じゃないよ。大体それは怪我と言うよりかは押し込んだ結果だよ?

「帽子さん!もとに戻ってください!お願いします!」

 いやいや、お願いしたって元には…え?帽子のシワが消えていくんだけど!?

「え、嘘…?もしかしてアマミちゃん、帽子も治療できたりする?」
「え、そうなんですか?お願いしただけです!あ、帽子さんが前みたいにピンピンしています!中も汚れていないです!帽子さん凄いです!」

 ちょちょ、色々突っ込みどころ満載だよ!?と、取り敢えず…アマミちゃんは帽子のことを帽子さんとか言っているけど、生き物のはずがない。取り分け100歩譲って生きているとして、あれだけ荷物を詰め込まれていた状態で一瞬で元に戻るなんて有り得ない。と言うことは、恐らくこれもアマミちゃんの魔法?しかも本人は無意識でやっちゃっている?

「あ、アマミちゃん?ちょっと帽子見せてくれない?」
「はい!優しく扱ってほしいです!」

 少なくとも投げつけないから大丈夫だよ?

 どう見ても普通のつばが付いた尖り帽子である。生きている感じはしない。と言うよりこの帽子はアマミちゃんが魔女と言うことで僕がプレゼントしたものである。そんな特別な帽子ではなく市販の帽子のはずである。まあ、あくまで仮装用のはずなのであるが。

 魔女帽子をじっくり見たり、帽子の裏まで確認したが葉っぱの汚れ等は一切ついていない。もはや新品同様レベルではないだろうか?アマミちゃんの能力はどうなっているんだろう?

「ありがとう。帽子を返すよ。」
「はい!帽子さんおかえりなさいです!無茶は良くないです!帽子さんは私の頭の上が一番です。むやみに荷物を持っちゃ行けません!私との約束です!」

 原因君だよ!被告人が罪について問われたときに全部被害者が悪いって言ってるようなものだよ!

「お前たちずいぶんうるさいなあ…ってなんだ?机の上が色々散らかってるぞ!?」
「あ、はい!色々採取したので今整理整頓してるんです!」
「おいおい、そんな雑草整理は外でやってくれ。これから夕食を机に運ぼうと思ったのにこれじゃ運べないじゃないか。ここはリビングだぞ?そんな食べれないものを置く様な所じゃないぞ?まあ、キノコは知らないが…。」
「何言ってるんですか!この葉っぱもこの植物さんもこのキノコさんも全部食べられるんです!食べ物を粗末にするなんて許せないです!お仕置きが必要です!ミズハさん、お願いします!」

 え?いきなり降られたんだけど、何すればいいの?後、そのピンクのキノコは猛毒キノコだよね?食べられないよね?

「おいおい、本当に食べられるのかそれ?500年近く生きているが食べてるやつなんて見たことないんだが?」
「500年?」
「うん?500年がどうかしたか?」

 どうかし過ぎなんですが?20歳前半じゃないんですか?どう見てもお爺さんには見えません、と言うよりそんな生きている生き物は聞いたことありません。

「500歳さんです!凄いです!どうやってすればそこまで長生きできるんですか!?」
「うん?適当に起きて適当に食べて適当に寝てればそのうち500年ぐらいたつさ。」

 すいません。それで500年生きれるのであれば500歳の人なんて腐るほどいると思います。

「というか話をそらすな。少なくともそのキノコ以外食い物じゃないだろ。今すぐ捨てて…」
「すいません。少なくとも、このピンクのキノコ以外全部食べられます。僕達は長らく旅を続けていて録にお金を持っていないんです。ですので、どんなに貴方が食べ物でないと言っても僕らにとっては十分な食べ物なのです。」
「お…そ、そうなのか…それはすまなかった。」

 男性がまた腕組みをして唸ったり頭を手で抱えたりしている。熱でもあるのだろうか。アマミちゃんに頼んで治療してもらうのも有りかもしれない。

「と、取り敢えずだ。夕食をテーブルに運ぶ必要があるからそれらを全部どけてくれ。
 あー、向こうにもう要らない新聞がある。そこの上にでも置いておいてくれ。」
「分かりました。お手数をお掛けして申し訳ありません。アマミちゃん、ここに僕らの採取物を置くと邪魔みたいだから取り敢えず移動しよう?」
「邪魔なんてひどいです!ミズハさん!食材の恨みは酷いです!あの男性にはこの夢の国に行けるキノコを食べさせましょう!」

 殺す気か!どうして都合の悪い人間はいつも殺そうとするのかなあ。

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